総合防災訓練から考える

                                 元生駒市アマチュア無線非常通信協力会顧問 JAKF 江口 正

 令和3年11月14日生駒市総合防災訓練が晴天の中で開催され、無事終了しました。
 各自治会(自主防災会)では指定された避難所を中心に町内会長・役員・班長等の役員方や自主参加された住民の方々を含め、若し予想される大震災が実際に発生した場合に備えての状況を想定しながらの現状把握が出来たのではないかと思われます。
 
 私も、市民の一人として避難民の立場で、見学に参加しました。
 先に、訓練計画案が提供された時点から実際にはどうなるであろうかと思いめぐらせていましたが、色々な検討課題が残っていそうに思いました。

****************************************************************************************************************

 令和3年度生駒市総合防災訓練・準備情報

 生駒市広報「いこまち」9月号と同時に配信されてきた、生駒市自治連合会の「まいこま」55号に令和3年度の生駒市総合防災訓練が特集されていました。

 生駒市の防災ページには、訓練の指針として「安否確認訓練」「情報伝達訓練」「訓練計画書」として各自治会での準備用資料が提供されています。

 「まいこま」55号はこの指針をもとに各自治会・自主防災会の皆さんに対してこの総合防災訓練への積極的な参加を求め、その意義を説明されています。
 市役所ホームページにも訓練に関してのより詳しい情報更新がなされています。 その時に惑わないように情報収集をお願いします。

訓 練 計 画 案

日 程:令和3年11月14日(日) 午前8時30分〜
場 所:各地域、避難所、生駒市役所等
想 定:生駒断層帯地震を想定(最大震度7の地震発生!
行 動:防災行政無線・緊急速報メール発報
 各家庭:シェイクアウト訓練→家族安否確認→家屋破損状況確認・安否確認目印表示
 近隣集合場所:各班住民安否確認・名簿記入・避難所誘導(班長)余震注意!
 避難所開設:レイアウト→受付設営→各班町内会避難者名簿確認
       避難所外避難者名簿作成
 避難所より各校区中学校へのMCA無線による情報伝達:
 各中学校より市役所災害対策本部への情報伝達訓練開始3時間後
 成果検証→終了宣言→解散       〜12時00分







 





これも大切

 さてここで、この訓練で想定されている状況と行動の可能性について検討をしてみましょう。

1) 震度7の地震とは: この訓練で想定されている地震規模はM7〜7.5
  想定最大震度7、住宅地域の多くで6強とされています。
 
 これは、我々が知る平成7年の阪神淡路大震災や、平成23年の東日本大震災、平成28年の熊本地震などが相当します。


2)
 若しこの規模の地震が発生した場合には、木造家屋の破損はもとより、鉄筋コンクリートの建物でも倒壊する可能性も知らされています。

3) また生駒断層帯に由来する地震と想定すると、直下型であり前震・本震・余震と連続して起こる可能性もあり、シェイクアウト行動を常に考えて避難行動を行うことが必要です。

4) 地震の揺れが収まったら、各地域毎で定めた集合場所に集まって班長が周辺住民の被災状況を集約することになってますが、被災状況によっては班長自身が参加できないことも起こりうるので、日頃の協力体制の構築が大きな問題として存在します。

5) 地区毎の安否確認、避難所移動者の把握が終われば避難所への誘導となるが、実際には避難所の現状についての情報は入っていないことも考えられるでしょう。

 想定されている状況から、電気・ガスのみならず、固定や携帯電話等通信インフラもダウンしている可能性は必至と考えられるからです。

6) 避難道路に於いても、倒壊家屋の発生、自動車の停滞・事故の発生等も確実に予想され、目的地への行路にも万全の注意を必要とします。

7) 生駒市アマチュア無線非常通信協力会は、令和3年3月に生駒市と大規模災害発生時公共通信回線不通時における 情報収集に関する協定を締結しています。

  メンバーはこの総合防災訓練にも参加が要請されており、災害対策本部の一隅に仮設したベース局と会員無線局との間で住居地域周辺や緊急輸送道路の交通状況、各避難所の状況等をアマチュア無線の電波を使って災対本部に伝える訓練を行うことになっています。

8) アマチュア無線局は生駒市内にもかなりの数存在し、各地区防災拠点である中学校区内に複数人が居住しています。
  会員以外のアマチュア無線局を含め、自治会との連携が組めれば、非常通信だけではなく、令和3年3月10日に公布、施行された「
アマチュア無線の社会貢献活動での活用」として、中継基地局がなくても直接連絡が取れるアマチュア無線の特長を生かした、より広い自治会各班の活動や避難所との連絡等にも協力することも出来るのではないでしょうか!!

◎ 気になること:「まいこま55」が配布されかなりになりましたが、各自治会での対応に大きな温度差があるようです。訓練の日にはまだかなりありますが、すでに回覧板等で訓練が行われることを住民に連絡し参加する居住者名簿や避難所での作業指針を提示されている自治会もあれば、回覧板と一緒に「まいこま55」を配布はしているが、11月の総合防災訓練があることすら自治会として連絡していない地域もあるようです。
 それぞれの事情が有るとは思いますが災害は区別をしてくれません、何らかの方向を見つけ出す努力は必要と思われます!!